BCTS-S001 洗濯による生地の伸縮について

関東も梅雨入りしましたが、梅雨入り後は晴れが続いていますね。
予報では晴れも今日までで明日からはまた雨だそうですが、都心では雨でもこの時期は、蒸し暑いのでTシャツの出番は多いのではないでしょうか。

さて、BitterCats吊り編みポケットTシャツ(BCTS-S001)は、昨年の販売開始以来もうすぐ1年が経とうとしています。
おかげ様で徐々にではありますが、ネットでBCTS-S001を検索してくれる人も増えてきており、それに比例して購入してくれるお客様も増えてきました。
とてもありがたいことです。
購入していただいたお客様がどのように着用していただいているのか、気にしながら、お客様の大切な一着になれていることを願うばかりです。
そんなお客様の為に、またご購入をご検討されているお客様の為にも参考になればと思い、BCTS-S001発売以来、私自信が着用してきたシャツの洗濯回数とサイズ変化の記録およびその考察を行いたいと思います。
この数値は、実生活の中で特に意識することなく着用と洗濯を繰り返し(2017年6月より使用開始し、2018年6月現在で洗濯回数15回)そのサイズを計測、記録したものです。
2022/05/14追記
その後、2022/05までの記録を追記しています。(洗濯後のサイズは一定の範囲で収まっていたので、記録は27回目までとなりますが、その後も普通に着続けており、今回、追加した写真は2022/05に撮影したものです。)

日常生活による着用ですので、最も実利用に即した検証となります。
Tシャツを購入後のサイズの変化が気になる方は是非ご参考にしてください。

BCTS-S001(Lサイズ)洗濯による生地の伸縮

製品版BitterCatsポケット吊り編みTシャツ(BCTS-S001)に関して、通常の着用および洗濯後、各部のサイズを計測し記録しました。

Tシャツの着用方法

朝から夜まで日常生活の中で特に意識することなく通常のTシャツとして着用しました。

洗濯方法

洗濯ネットに入れるだけで、後は特に意識することなく他の洗濯物と一緒に洗濯しました。(洗濯機はドラム式を使用しています。)
市販の洗剤、柔軟剤を使いました(Tシャツ専用の洗剤は使用していません。)

計測方法

洗濯、ハンガーにかけた状態で自然乾燥後に平台に広げ、軽く整えた状態でメジャーを使って計測しています。
※アイロンがけはせず手アイロンで整えただけですので若干のシワ分は小さく計測される可能性があります。
同一人物が同一条件で計測しています。
手動による計測の為、mm単位の数値は信用性が低いですが、できる限り正確に測りたいと考えているため計測結果はmm単位まで表記しております。

計測結果

洗濯回数 天巾 後下 前下 肩巾 身巾 着丈 袖丈 袖口巾
0回(未使用状態) 18.0cm 2.8cm 11.7cm 42.2cm 49.4cm 69.8cm 22.6cm 16.4cm
1回 19.4cm 3.0cm 10.6cm 43.0cm 48.6cm 69.0cm 23.0cm 16.0cm
2回 19.0cm 3.0cm 11.8cm 43.0cm 49.0cm 70.0cm 23.0cm 16.0cm
3回 20.0cm 3.0cm 12.0cm 43.2cm 48.0cm 69.8cm 23.0cm 16.0cm
4回 19.8cm 3.3cm 11.0cm 43.0cm 47.6cm 69.8cm 23.0cm 16.2cm
5回 21.0cm 4.0cm 12.3cm 43.6cm 49.0cm

70.5cm

23.2cm 16.2cm
6回 19.6cm 3.6cm 11.5cm 42.2cm 49.0cm 69.5cm 22.6cm 16.4cm
7回 20.6cm 4.3cm 10.9cm 43.6cm 49.0cm 69.4cm 22.8cm 16.4cm
8回 20.4cm 4.0cm 11.6cm 43.0cm 48.4cm 69.0cm 22.4cm 16.4cm
9回 19.5cm 4.0cm 11.8cm 42.0cm 49.2cm 69.4cm 22.2cm 16.6cm
10回 20.4cm 3.3cm 11.4cm 43.0cm 49.0cm 69.0cm 22.4cm 16.4cm
11回 20.2cm 3.5cm 11.4cm 43.2cm 49.0cm 68.6cm 22.8cm 16.6cm
12回 20.0cm 2.8cm 11.6cm 43.4cm 49.0cm 69.4cm 22.4cm 16.4cm
13回 17.6cm 3.1cm 11.7cm 41.6cm 49.0cm 68.5cm 22.2cm 16.2cm
14回 18.6cm 3.7cm 10.8cm 41.6cm 49.2cm 68.0cm 22.0cm 16.4cm
15回 18.3cm 4.4cm 11.6cm 40.8cm 49.6cm 68.4cm 22.2cm 16.4cm
16回 18.0cm 4.0cm 11.2cm 42.6cm 49.8cm 68.6cm 22.6cm 16.2cm
17回 18.2cm 3.4cm 11.4cm 42.0cm 49.0cm 68.8cm 22.3cm 17.0cm
18回 18.2cm 3.5cm 11.0cm 42.0cm 49.8cm 68.0cm 21.8cm 16.4cm
19回 18.8cm 3.6cm 11.2cm 42.3cm 49.4cm 68.8cm 22.2cm 16.4cm
20回 18.0cm 2.8cm 12.2cm 41.8cm 50.0cm 68.8cm 22.2cm 16.2cm
21回 19.4cm 3.6cm 11.4cm 44.0cm 48.8cm 68.6cm 22.0cm 16.4cm
22回 18.0cm 3.4cm 11.4cm 42.0cm 49.2cm 68.4cm 22.0cm 16.4cm
23回 19.0cm 3.5cm 10.6cm 42.2cm 47.8cm 66.8cm 22.4cm 16.0cm
24回 19.0cm 4.0cm 11.2cm 41.4cm 48.8cm 67.8cm 22.0cm 16.4cm
25回 18.0cm 3.3cm 11.4cm 41.5cm 48.6cm 68.0cm 21.5cm 16.4cm
26回 20.0cm 3.5cm 12.0cm 42.4cm 48.6cm 68.2cm 22.4cm 16.2cm
27回 17.4cm 3.2cm 11.7cm 41.0cm 49.0cm 68.4cm 21.6cm 16.6cm

 

※各部の名称は以下をご参照ください。

生地表面の変化

サイズの変化以外に、生地表面の変化もアップ画像でご確認ください。

BCTS-S001(未使用)の生地
BCTS-S001(15回洗濯済)の生地
 

若干ではありますが、生地表面のフワフワした細かな繊維が少なくなっているように見えますが、編み立ての目はほとんど変化がないように見えます。
これは吊り編み生地の特色だと考えています。

2022/05/14追記
4年間使用してきたTシャツの生地表面画像をアップ追加しました。

2022年5月撮影の生地
左(15回洗濯済) 右(未使用)

生地自体の厚みを正確に比較することはできませんが、折り畳んだ状態の厚みを参考までにアップしておきます。
写真左が15回洗濯済、写真右が未使用のBCTS-S001です。
若干、未使用の方が厚みがあるように見えますが、大きな変化はないように感じます。

考察

数値の観察結果

上記の数値から以下の2点に気づきました。

1.サイズ変化が大きい箇所の存在

未使用時と15回洗濯後の数値を比較し1cm以上変化がある部分に着目しました。
該当箇所を以下に示します。
「後下(+1.6cm)」、「肩巾(-1.4cm)」、「着丈(-1.4cm)」

2022/05/14追記
未使用時と27回洗濯後の数値を比較し1cm以上変化がでた部分。
「肩幅(-1.2cm)」、「着丈(-1.4cm)」、「AH(1.0cm)」、「袖丈(-1.0cm)」
15回洗濯後の際には後下が(+1.6cm)となっておりましたが、27回洗濯後は(+0.4cm)と未使用時に近い数値に戻っています。
他の項目も洗濯毎に伸縮をしていることから考えると、干し方、乾き方によって多少の誤差が出るということなのかもしれません。

2.洗濯毎に伸び縮みを繰り返す箇所の存在

洗濯する度にずっと伸び続けたり縮み続けるのではなく、伸びたり縮んだりしている箇所が存在することに着目しました。
該当箇所を以下に示します。
「天巾」、「前下」、「後下」、「肩巾」、「着丈」

そこで、これらの2点に関して考えられる要因を考察していきたいと思います。

観察結果の分析

数値の観察結果に関してそれらの要因となるべき事象を探っていきたいと思います。

1.サイズ変化が大きい箇所の存在

「後下」と「着丈」に関しては、計測時のTシャツの置き方が影響していた可能性が考えられます。
Tシャツを計測する際は、特にアイロンがけをすることもなく平台に置いて手で軽く整えた状態で行いました。
このTシャツを置く際に、肩の部分の縫い目(前身頃と後見頃を結合する部分)を前側に来た状態で計測すると「後下」が短くなり、「着丈」が長くなります。
反対に肩の縫い目を後にすると「後下」は長くなり、「着丈」は短くなります。
観察結果を見ると、「後下」が+1.6cmなのに対し、「着丈」が-1.4cmでほぼプラスマイナスで0.2cmなので、この計測時の違いがあったのではないかと疑えます。
但し、この計測方法だと「前下」も影響を受けるはずなのですが、数値上は「前下」は未使用時とほぼ変わりません。
従って、洗濯を繰り返すことで多少の伸縮はあるものの、生地自体が大きく伸縮しているわけではないと考えても良さそうです。
なお、「肩幅」の-1.4cmに関しては、次の「2.洗濯毎に伸び縮みを繰り返す箇所の存在」の分析で一緒に考えていきます。

2.洗濯毎に伸び縮みを繰り返す箇所の存在

「天巾」、「前下」、「後下」、「肩巾」、「着丈」の中で、「後下」(「前下」)と「着丈」に関しては、上記の計測方法が要因とします。
「天巾」と「肩幅」に関しては、乾燥時に使用したハンガーの影響を受けているのではないかと考えています。
乾燥させる時に使用した2種類のハンガー写真です。

通常の肩巾サイズと袖まで届く長いサイズの2種類のハンガーをランダムに使っていました。
実際にこれらのハンガーにTシャツをかけると以下のようになります。 (写真の→はTシャツの生地自体の重さで引っ張られる方向を示しています)

通常の肩巾サイズハンガー使用
袖まで届く長いサイズのハンガー使用

これを見て頂くと一目瞭然だと思いますが、通常の肩巾サイズのハンガーは、衿から肩巾の部分が斜め下方向に引っ張られた状態になるのに対し、袖まで届く長いサイズのハンガーを使った場合は、アームホールが下に引っ張れる状態になります。
コットン生地は、乾く際に若干縮む特性がありますが、常に引っ張られた状態で乾燥させると伸びてしまいます。
そのため、通常の肩巾サイズのハンガーを使って乾燥させた場合は、「天巾」、「肩巾」の箇所が伸びているものと考えられます。
一方、袖まで届く長いサイズのハンガーを使って乾燥させた場合は、アームホールの部分が下に引っ張られる状態になりますが、アームホールはロック始末により見頃生地と袖生地を重ねて縫製していることから伸びに強いため、自重による引っ張りの影響が出ないのではないかと考えられます。
さらに、コットン生地の乾燥時に縮む(着用時に伸びたものが元に戻る)特性により「天巾」や「肩巾」が未使用時のサイズに近い数値になっているものと考えられます。
以上のことから、上記計測結果において洗濯回数毎に「天巾」、「肩巾」の数値が伸びたり縮んだりしているのは、乾燥時に使用したハンガーの影響が大きいのではないかと考えられます。

結論

以上のことから、計測結果における数値に関しては一部仮定の部分はありますが、矛盾なく説明できそうです。
これらの仮定を検証すべく引き続き計測は行っていきますが、出来るだけTシャツの形を未使用時の状態を保つには以下の点に注意することが効果的であるように思います。

①洗濯する場合は洗濯ネットを使う。
②ハンガー干しする場合は、袖まで届く長いハンガーを使う。(肩部分が斜め下に向かう形状ではなく、できるだけ水平に伸びるものが好ましい。)

逆に衿口をもっと広くしたい場合や肩巾を広げたい場合には、通常サイズ(肩巾より1~2cm短めが理想)のハンガーを使用して自然乾燥させると良さそうです。
この計測結果からこのBCTS-S001の特性を知って頂き、自分好みのTシャツ作りに活用していただければ幸いです。

© 2023 Bitter Cats.