Bitter Cats 吊り編みポケットTシャツ(BCTS-S001)の素材

これまで、Tシャツの生地の厚み縫製形状などに関して記載してきました。
今回はこれらの内容をもとにBitter Cats 吊り編みポケットTシャツ(BCTS-S001)を見てみたいと思います。

Bitter Cats 吊り編みポケットTシャツ(BCTS-S001

 

Bitter Cats 吊り編みポケットTシャツ(BCTS-S001)の生地

Bitter Cats 吊り編みポケットTシャツは、吊り編み天竺という希少な生地を使っており、16/1(イチロク タンと読みます。16番手の単糸という意味です。)の糸で編まれています。

Bitter Cats 吊り編みポケットTシャツ(BCTS-S001) 16/1 吊り編み生地

Tシャツに最適な生地の厚さ でも記載しておりますが、吊り編み生地のプロフェッショナルとも言える縫製工場の方のアドバイスや流通している数多くの拘りTシャツを研究した末にたどり着いた究極の厚みだと考えています。
縫製工場では、長年、吊り編み天竺の糸として様々な太さや種類の糸を吊り編み機にかけてその生地の特性を研究し、様々な特性の製品を作ってきている経験や知識を持っています。
糸が太すぎると頑丈になりますが、肌ざわりにこすれ感が出たりゴワ付きが出やすくなりますし、細すぎると肌ざわりは滑らかですが、着ているうちに型崩れを起こしやすくなりますので洗濯回数が多いTシャツには不向きです。
16/1という糸は、長い経験と豊富な知識から辿り着いた究極の番手なのです。

Bitter Cats 吊り編みポケットTシャツ(BCTS-S001)のフライス生地

Tシャツの衿素材は「フライス」か「共布」か でも記載したように、Bitter Cats 吊り編みポケットTシャツ(BCTS-S001)は、襟素材としてフライス生地を採用しています。

Bitter Cats 吊り編みポケットTシャツ(BCTS-S001) フライス生地

フライス生地は、40番手→30番手→20番手と数字が小さくなるほど生地は厚くなります。
一般的なTシャツでは、40番手のフライス生地が使われることが多いですが、Bitter Cats 吊り編みポケットTシャツ(BCTS-S001)は、本体生地の16/1という太番手の糸に負けないように20番手(20/1)綿100%素材を採用しています。
綿100%のため、延びてしまっても洗濯後の乾燥で多少は復元することも期待できます。(ポリエステル素材が入ったストレッチ素材は、一度伸びてしまうと洗濯後の乾燥で復元することは期待できません。)

Bitter Cats 吊り編みポケットTシャツ(BCTS-S001)の縫製糸

拘りTシャツを見ると、縫製糸に綿糸を使っているブランドが多いことが分かります。
綿糸の特徴はなんと言っても、本体生地と同じ素材のため、融和性が良く(洗濯後の乾燥で縮む(復元する)効果も期待できる)また、製品の状態で染める場合も良く染まります。また、糸も一緒に経年変化を楽しめることもあり拘りTシャツを製造しているブランドでは、綿糸を採用していることが多いのです。
しかし、Bitter Cats 吊り編みポケットTシャツ(BCTS-S001)は、あえてスパン糸を採用しています。
吊り編み天竺は、強度検査に出すと、ほかの一般的なTシャツの生地と比較すると強度が高いことで知られています。吊り編み生地を生産されている数少ない工場の取材記事「第1回 魔法のかかった編み立て機?(出典:「ほぼ日刊イトイ新聞」)」の中で、破裂強度という表現で一般的な生地と比較すると約1.8倍(通常4キロちょっとだが、吊り編みは7キロ以上)の強度と記載されています。
綿糸は、スパン糸に比べると強度面で不利になるため、その不利をカバーするために太番手の糸を使うことが多くなります。
太番手の縫製後は着てしまえばそれほどでもありませんが、着脱時に裾部の縫製が顔にあたるため、その硬さが気になりました。(ジーンズの裾上げ糸は綿糸が使われることが多く、その肌ざわりに似ています。下の写真は、手持ちのTシャツに天地縫いの綿糸縫製がなかったため、3本針平縫いの縫い目になります。)

綿糸 3本針平縫い

糸を細くすると切れやすくなってしまうため、洗濯回数が多いTシャツにはどうしても太番手の糸を使う必要があります。

一方、下の写真は、Bitter Cats 吊り編みポケットTシャツ(BCTS-S001)の縫製に使われているスパン糸です。
上の綿糸の写真と比較すると糸の太さの違いがはっきりとわかります。
糸が細く柔らかいので着脱時に縫製部分が気になりにくいと思います。

スパン糸 天地引き

今後、製品を後から染めたり、肌ざわりよりもタフさを強調するようなモデルを作ることになった場合には、綿糸も改めて検討する必要があります。

カタログ値には出てこない

Bitter Cats 吊り編みポケットTシャツ(BCTS-S001)の生地が決まり、製品化するわけですが、実はこの生地を安定して入手し続けるということはとても難しいのです。
カタログ値として、数値で表されるもの(糸番手、編み方、生地の種類)以外に、生地の洗いや乾燥、染など仕入れの時期によっては、違う工場で行われるのが一般的です。
そのため、縫製工場に納品された時点で、同じ素材だと思っていても生地感がなんか違うといったものになることもあります。
洗い方が違っていると、この後の洗濯時に縮む割合も変わってきますので、パターンの変更を行なわないと違った形状になってしまう危険性も出てきます。
これも生産時期を反映した味になることもありますが、ただでさえ形状を均一にすることが難しい生地(※)ですから、ここまで研究して辿り着いた品質、風合いをできるだけ均一に保っていきたいと考えています。
(※)天竺生地は伸縮幅が大きいため、同サイズの製品でも数cm程度の違いが出ることは一般的に知られています。
Bitter Cats 吊り編みポケットTシャツ(BCTS-S001)は、分業が進んでいる繊維業界では珍しく、縫製以外に、生地の糸番手・糸種類・編立場所から度目調整や染工所、その後の乾燥方法などカタログ値には出てこない項目まで管理、指示する技術と知識を併せ持つ縫製工場により、生地の仕入れから縫製まで一貫して管理、生産されています。