Bitter Cats オリジナル 吊り編みTシャツのこと

Bitter Catsの「吊り編み 無地ポケットTシャツ(BCTS-S001)」は、型(パターン)を独自に起こし、生地からTシャツを仕立ててた完全オリジナルTシャツです。

Bitter Cats 吊り編み 無地ポケットTシャツ(BCTS-S001

 

なぜ、コストが高くなる完全オリジナルTシャツを作ることになったのか。
それは、前回少し触れた「吊り編み天竺」という生地が関係しています。
今回は、この件について触れたいと思います。

 

理想のTシャツを見つけることの難しさ

オンラインセレクトショップ「Bitter Cats」を立ち上げようと思い立った当初、自分達で型(パターン)からTシャツを作るなんて考えもしませんでした。
セレクトショップ運営は、「お気に入りの商品を少量多品種仕入れる」というのが定石ですから、渋い感じの猫デザインTシャツを取り扱っている仕入れ先を探すことに専念していました。
ところが、実際に探し始めると、目的の渋い、ビターな感じの商品が見つからない。。。
結構長い時間をかけて探していたのですが、見つかるのは「かわいらしい」ものや、「コミカル」なもの、「芸術的」なものばかりで、「渋い、ビター」な商品って見つからなかったんです。
そこで、プリントデザインだけ自分達で作って、オリジナルTシャツ・プリントサービスをしてくれるところにお願いしようと考え、プリントのベースとなる無地Tシャツ(数十種類に及ぶ多種多様な無地Tシャツが用意されている)のいくつかをサンプルとして取り寄せ始めました。
サンプルとして送ってもらえる数には制限があって、数種類なら無料でいただけるところもあれば、返却前提でもう少し多くお借りできるところあります。最初は、この方法で少しずつ確認していたのですが、後からもう一度、「あの時のTシャツの肌触りはどうだったかな」とか「縫製はどうなっていたかな」、なんて思い出して比較しようとした際に、手元に実物がないと確認できない不便さもあって、まとめて購入し始めました。
こういったプリント用のTシャツは、ほとんどが数百円程度(世のなかで3000円未満で販売されているTシャツは、こういったサービスを使っている商品が多いです。)なので数十着購入しても金額的には大したことありません。
ところが、いくら購入しても、自分達が求める理想のTシャツが見つからないという事態に直面しました。

Bitter CatsTシャツに求める要件

そもそも、自分達がTシャツに求めた要件は、以下の7つでした。(当初はこの程度でした。)
1.バインダーネック仕様であること(※1)
2.ラウンドネック(丸首)であること
3.衿口にゆとりがあること
4.生地は厚みがあり透けないこと
5.頑丈であること
6.生地の表面にザラ感があり風合いがあること
7.ポケット付きであること
(※1)この仕様を求めた理由については、別記事でお伝えしたいと思います。

このうち、2、4、5、6、7の要件を満たすTシャツは、いくつかはあることがわかりました(但し価格は平均よりは高め)。しかし、1、3の要件を満たすTシャツが見つかりませんでした。Tシャツは、着続けていると、まず衿口がヨレヨレになってしまい着れなくなってしまうことが多い為、衿口を伸びにくくすることが求められます。そのため、衿巾を広目にしたり、衿素材を伸びにくいものに変更したり、衿口を極力小さめに作るなどの対処を行います。
したがって、必然的に3を満たすTシャツは作られにくいんです。

では、なぜ、3「衿口にゆとりがあること」を要件にしたのかというところに至りますがその理由は、衿口が詰まったTシャツは、モデルさんのような細くて頭の小さい人たちが着る分には問題ないのですが、一般の人が着ると大抵、首元が詰まって、頭が大きくみえてしまいバランス悪く写ってしまうことが多いのです。

小売りTシャツに検索範囲を拡大

そこで、オリジナルTシャツ・プリントサービスを提供してくれるところで用意されている無地Tシャツ以外に、普通にお店でTシャツとして販売されている(小売り)商品も含めて探し始めました。
すると、程なくして、3以外の条件を満たしてくれそうな商品がいくつか出てきたので、端から購入していきました。
これらの商品は、以前のものとは違って5000円以上のものがほとんどで、研究・調査のためとは言え、こんなにお金をかけて本当に求めるTシャツに辿り着けなかったらどうしようという不安との闘いでもありました。
ただ、そんな不安も、購入した商品を実際に見たり、着てみたりすることで、すぐに払拭されました。いずれの商品も今まで見てきたものとは格段に違ったクオリティーで、求めるTシャツにぐっと近づいたものだったからです。
このやり方でいけば、そのうち出会えるのではないかという希望を持たせてくれました。

この時、実際に購入した商品の一部をご紹介します。

購入した商品を調べていくと、いくつかの商品に共通点がありました。

吊り編みとオープンエンドヤーン

共通点は、「吊り編み」や「オープンエンドヤーン(空紡糸)」というキーワードです。
「吊り編み」とは、いわゆる吊り編み機で編まれた生地(特にTシャツ用は天竺)、「吊り編み天竺」で、「オープンエンドヤーン(空紡糸)」は、空気の流れで撚りを加えて紡績された糸のことを指します。

これらの生地は、表面にザラ感があり独特の風合いがでるのが特徴です。

以下は、オープンエンドヤーンで編まれた生地を使ったTシャツ、吊り編み天竺を使ったTシャツの生地表面の拡大写真です。

オープンエンドヤーン
吊り編み天竺

ただ、これらの生地は特殊で、多くが自社用にオリジナルで調達して、Tシャツを仕立てていることがわかりました。
購入したTシャツに書かれている連絡先に問い合わせして、無地の状態のTシャツを卸してもらえないかどうか伺ったりもしていましたが、製品としての小売り以外はしてくれるところは見つかりませんでした。

完全オリジナルTシャツ製作を決意

当初、Tシャツは、気に入った商品を仕入れて、そのまま販売しようと考えていただけに、自分達で生地からTシャツを作るなんて想像もしていなかったのですが、苦労の末、ついに見つけた理想の生地。
この生地を使うためには、自分達で生地からTシャツを仕立てるのが一番の近道だと確信し、ついにオリジナルTシャツの製作に向けて動き始めることになります。