Tシャツ襟元のブランドタグ

最近は襟のブランドタグが肌にあたり着心地が悪くなるのを防ぐため、生地に直接ブランド名を印字している製品が増えてきています。
しかし私達は、Bitter Cats 吊り編みポケットTシャツ(BCTS-S001)に、ブランドタグをつけることにしました。
今回は、私達がなぜブランドタグをつけることにしたのか、その理由について記載します。

Bitter Cats ブランドタグ

 

単なる注意書きならタグはいらない

洋服のブランドタグについて調べると、結構悩まれている方が多いことがわかります。
服を購入したらまず、値札タグを切るのと同じようにすぐに襟元のブランドタグも切ってしまう強者もいらっしゃるようですが、お気に入りブランドのタグを切ることへの抵抗があり、我慢して着ているという方も多いのではないでしょうか。
実際、私もボーダーシャツで有名な某メーカーのタグを、硬くて肌にあたるのが気になっていながらも切ることに抵抗があり数年は我慢して着用していました。
しかし、どうしても我慢できず泣く泣くタグを切った経験があります。
今までブランドタグは襟元にあるのが当たり前でしたが、最近はブランド名や洗濯時の注意事項、サイズなどの情報を直接Tシャツ生地にプリントされた製品も、大手ブランドを中心に増えてきているように感じます。
タグを単なる注意書きと捉えるならば、わざわざ不快感を与えかねないタグなどやめて、プリントにしたほうがメリットは多いと私達も考えました。

タグは単なる注意書きか

タグは、本当に単なる注意書きなのでしょうか。
そうであるならば、わざわざあんな襟の後につけることはなかったのではないでしょうか。
なぜ、長い間、襟元につける必要があったのでしょうか。
生地へのプリントという技術は古くから存在しているため、襟元にプリントをしようと思えば昔から行うことはできたはずです。
にも拘わらず多くのメーカーがいまだにタグをつけ続けている理由は何でしょうか。
普段はあまり意識して見ることのないタグについて、改めて焦点を当ててその存在意義を考えた時、一つの答えが浮かび上がりました。
それは、タグが単なる注意書きではなく、まさしくブランドの誇りや思いを表現する顔のような存在になっているのではないかということです。
素材やデザイン(プリントや編み)、大きさや形状といった様々な要素を使って表現することができるタグは、ブランドの思いを表現するのに適しているとも考えられます。
お気に入りの服のブランドタグを切ることに抵抗を感じるのは、そういった思いを私達は無意識に感じているからなのかもしれません。

理想のネームタグ

タグの重要性を私達なりに考えた結果、古来からのタグをつける方向で進みだしました。
理想のネームタグとはどんなものか。
着心地が悪くてタグが切られてしまうという事態はできるだけ避けたい。
できるだけ着心地を損ねず、且つ、商品の価値をより高めてくれるそんなタグにしたいと考えました。
肌にあたってもチクチクせず、洗濯をしても破けない、そしてデザインもかっこいい風合いあるタグを求め、タグについて調べました。

タグの種類

タグはネームタグと呼ばれることが多く、「プリントネーム」や「織ネーム」といった種類に分類されます。

プリントネーム

テープ状の素材にインクで印刷したブランドタグを指します。
印刷するため、後述の「織ネーム」に比べると細かなデザインを表現することができます。
また、テープ状の素材の種類が豊富なことも特徴です。

織ネーム

経糸と緯糸を使って織ってデザインされたブランドタグを指します。
丈夫で長持ちし、高級感があります。
織ネームには、織り方の違いにより、平織、朱子織、裏朱子織、高密度織などがあります。

タグの折り方

ネームタグにはいろいろな種類の折り方がありますが主に襟用に使われる折り方を見てみます。

折り方の名称 形状 特徴 用途
ストレート ・テープを単に切りっぱなしの状態。
・ほつれ防止のためヒートカット処理などが施される。
・Tシャツの襟、バッグの外側
センターホールド ・製品の縫い代に挟みこんで使用するため、後付加工には向かない。 ・Tシャツの襟や脇
・その他さまざまなアイテムの縫い代に挟みこむ
エンドホールド ・両端がほつれることを前提に折り曲げて使用する。 ・Tシャツの襟、肌着の襟
マンハッタンホールド ・表面からカット面が見えないため、後付加工等に適している。 ・Tシャツの襟、肌着の襟
ブックホールド ・両端がほつれることを前提に折り曲げて使用する。 ・袖や裾(すそ)部分等生地の端に挟みこむ
マイターホールド ・吊り下げ状に縫い代に挟みこんで使用するため、後付加工には向かない。
・構造上、テープ巾の太いタグには使用できない。
・Tシャツの襟、肌着の襟

タグの素材

タグの素材としては、シルク、レーヨン、綿、ポリエステルといったものが使われています。
それぞれの素材の特徴を見てみましょう。

素材 メリット デメリット
シルク ・美しい光沢がある。
・肌触りが良い。
・シミになりやすい。
・塩素系漂白剤で溶解する。
・水に濡れると縮みやすい。
・色落ちしやすい。
・熱に弱い。
・紫外線に当ると黄変する。
レーヨン ・吸湿性、吸水性がある。
・光沢がある。
・肌触りが良い。
・染色性に優れている。
・シミになりやすい。
・塩素系漂白剤で溶解する。
・水に濡れると縮んだり、強度が低下する。
・シワになり易い。
・熱に弱い。
綿 ・吸湿性があり涼しく感じる。
・肌触りが良い。
・静電気が起き難い。
・強度があり、洗濯・漂白が容易。
・熱に強い。
・染色性、発色性に優れている。
・水に濡れると縮みやすい。
・シワになり易い。
・紫外線に当たると黄変する。
ポリエステル ・美しい光沢感がある。
・極めて強い繊維である。
・型崩れしにくい。
・乾きやすい。
・吸湿性が少ない。
・静電気を帯び易い。
・汚れると落ちにくい。

シルクやレーヨンは「てろっ」とした感じが良い風合いになりますが、漂白剤の種類によっては溶解してしまうなど取り扱いが少し難しい素材です。
また、綿は洗濯をするとヨレやすいため、Tシャツのように洗濯頻度が高い商品で使う場合には、ヨレたタグが肌に触れやすくなることを避けるため、四方を縫製して使うなどの考慮が必要そうです。
縫製箇所が増えると縫製した部分はタグ自体の生地の特性が強く出てくる傾向にあるためTシャツ生地本来の特性が失われてしまいがちになります。
そこで、洗濯してもヨレにくく強度の強いポリエステル素材をタグの素材として選択しました。

理想のネームタグを作ることの難しさ

理想のネームタグを求めて、探し始めてその困難さに気付き始めました。
単純に見えたタグですが、ベースとなる生地も糸の太さや糸の種類などTシャツと変わらないくらい多くの種類があることが分かり始めたからです。
その特徴から「織ネーム」にしようと決めていたのですが、ネームを織るための糸の太さや素材、また織り方により手触りや風合いが全く変わってしまうのです。
実物を見て手で触ってみないと全く想像していたものとは違うタグが出来上がってしまう危機感を感じ、工場の方にサンプルをお借りしたり、Tシャツの研究の為に買い集めた拘りTシャツを広げて片っ端から広げて、それを工場の担当者と写真や電話でやり取りしながら理想のタグを求める日々が続きました。
丁寧に話を聞いてご提案をしてくれる工場ばかりでしたが、なかなか理想のタグに出会えず数社にご連絡をさせていただきましたが、結局「織ネーム」で理想のタグを見つけることができませんでした。
一般的には、織ネームの織耳はチクチク感を軽減してけれるらしいのですが、どうしても角が肌に触れた際の若干の硬さが気になってしまったのです。

織耳

プリントネームが最適解だった

「織りネーム」特有の織耳は、一般的には手触りが良くなるらしいのですが、個人的な感覚の違いもでてしまうようです。
また、デザインをきれいに表現しようとすると糸を多く使う必要があるため厚みが出てどうしても固めになってしまう傾向があるため、工場の方からのアドバイスもあり「プリントネーム」で検討してみることにしました。
これが今思うとターニングポイントになったわけですが、「プリントネーム」で検討を始めると、いろいろな課題がクリアされ始めました。
生地の硬さも気にならず、デザインもプリントなので細部まできれいに表現されました。
デザインの耐久性は、「織ネーム」と同等というわけにはいきませんが、プリント技術も発達しており消えにくくなっており、たとえ消えかかったとしてもそれがまた味になるのではないかと思い始めました。
また、ネーム生地自体にも十分な風合いがありました。
こららのことから、Bitter Cats 吊り編みポケットTシャツ(BCTS-S001)の初期ロットは、襟のブランドタグに「プリントネーム」を採用することにしました。

着心地を損ねにくくするための工夫

プリントネームの採用を決定したわけですが、もっと考慮すべきところはないか検討しました。
検討すべきポイントは、タグの大きさやタグの縫製方法(折り方)です。

タグの大きさ

当初は、肌にあたる面積が少なるなるようにできるだけ小さいサイズにしようと考えておりましたが、小さいと生地が硬く感じてしまい余計気になることが分かりました。
髪の毛が長いと柔らかいのに、短く刈り込むとジョリジョリと硬い感じがするのと同じような感覚です。
そこで、タグを逆に大きくするという発想の転換を行ったところ、デザインの自由度が各段に増すという副産物も得ることができました。

タグの縫製縫製(折り方)

手持ちのTシャツに比較的多かった、「センターホールド」や「マンハッタンホールド」を考えておりましたが、縫製箇所が上部だけだとタグがピラピラ浮いて肌にあたりやすくなることを懸念し、縫製箇所は増えるがタグが浮きにくい「エンドホールド」を採用しました。

初期ロット用製品版タグ

タグのサイズを大きくしたことでデザインの自由度が格段に増しました。
そこで、ブランド名、サイズ以外に、このTシャツの最もアピールしたい特徴(吊り編み生地を使って日本の工場で縫製しているという以下の英文)も記載することができるようになりました。
「This product was made with loop wheel knit fabric and it was tailored at a sewing factory in Japan.」

Bitter Cats 襟ブランドタグ

右上には、正規品の証であるゴールドの印を施しました。

Tシャツに縫製されたブランドタグ

あまり注目されない存在のタグ、場合によってはすぐに切られてしまうような存在のタグですが、一度、お気に入りの洋服のタグを意識して見てみてください。
そのタグに込められたブランドの思いが伝わってくるかもしれません。

Bitter Cats 吊り編みポケットTシャツ(BCTS-S001)初期ロットは、このタグをつけて世の中に送り出します。